昨日、青春モノの映画が見たくてAmazon prime videoを探していたところ
リターン・トゥ・マイ・ラヴという映画を見つけました。
2007年の映画になりますね。
この映画は特に有名というほどではないですが僕の心にグサッと刺さる内容だったので
ご紹介しようと思います。
完全にネタばれナシで観たいという方は
Primevideoにて視聴可能です
簡単なあらすじ
画像Lonsome Jim trailer
ニューヨークの都会に住む作家志望の主人公ジムが
都会の生活と作家活動に波乗れず、無気力になって実家に帰ってくるところから始まります。
僕も東京で上手くいかず無気力になって今実家に住み着いているのでこの時点で惹きこまれてしまいました。
リアルな家族風景
家族っていつでも煌びやかなものではないですよね。
この映画ではリアルな家族風景が描かれていて心に刺さります。
ジムが実家に帰ると、お兄さんが出迎えてくれますがその表情は全てを察した顔。
続いてお母さんが現れると、とても喜びに満ちた顔でおかえりと言います。
ジムは長旅で脱水症状になっているというのにも関わらずお母さんは楽しそうに話を続けます。
そこにお父さんがやってくると「大丈夫なのか?」と少し心配した様子。
ここでやっと息子に水を飲ませる母親。
第一印象はなんてことない平凡な家庭でしたが話が進むにつれ
その皮は剥がれていきます。
過保護な母親
ジムがお風呂に入っていると母親が突然ドアを開けてきます。
「タオルを持ってきたわ」と一言。
ジムは27歳の立派な大人です。
急に風呂場に入ってきてビックリしますよね。
ジムも慌てた様子でしたが一応「ありがとう」と返事をします。
ところが、母親はすぐ立ち去るのではなくその場で「返ってきてくれて嬉しい」と
にこやかに話しかけるのです。
普通ならここで「早く出ていけ!」と少し怒る場面ですがジムは何も言わず
股間を抑えたまま母親にはぐされます。
正直この時点で母親の愛が異常だと感じますよね。
ジムはこの愛情に耐えられなくなって家を出たのでしょう。
兄の人生
兄は30過ぎで実家暮らしです。
全然悪いことではないですがそのことに関してジムは良く思っていませんでした。
働いてはいるけど母親の工場に勤め、地元の子供たちにはバスケを教える立場でもあります。
僕はこんな人生でも悪くはないかと思いますが兄にとっては辛かったようです。
兄にも夢があったそうですがその夢はかなわず、兄もまた無気力な人生を過ごしているのです。
僕はまだ21歳なので兄の気持ちはわかるけど前向きになることができます。
しかし、兄はもう30過ぎなので諦めているのでしょう。
ジムはそんな兄の背中を自分が追っているようで嫌だったのかもしれません。
父親の圧
父は20代で母と事業を立ち上げているので言うなれば成功している方です。
そんな話を食事中にジムにします。
「お前はなにがしたいんだ」「仕事はどうする」と見ている僕にも刺さる言葉ですので
ジムの気持ちが痛いほど伝わってきます。
そこでも母は「ゆっくり考えればいい」と優しく言うのです。
ジムは黙り込みます。
その状況なら僕も黙り込んでいるでしょう。
父親の言葉って重たいし辛くなりますよね。
それと同時に母親の言葉に少し安堵する自分に嫌気がさします。
ニートや実家暮らしの人は経験があるこの狭間。
息苦しいですよね。
とてもリアルに表現されています。
ジムの心情と性格
ジムは作家志望です。
しかし、作家は繊細な心の持ち主が多いのです。
映画に登場したジムの尊敬する作家達は皆、自殺しています。
死後に売れた不運な作家も好んでいます。
その傾向からジムも不安定で繊細な心の持ち主だということが分かります。
さらに、誰と会話するときも笑顔は滅多に見せません。
視線はいつもどこか冷めていて口数も多くない。
彼は、都会で自分の無力さに打ちひしがれてきたのでしょう。
そんな夢破れたともいえる状態では父親に「何をしたいんだ」と問われて
作家になりたいとは言えません。自分に自信が持てないのです。
僕もニートになり、言わば夢破れた状態です。
そんな状況で言われる父親の「いつもなにしてるの?」はとても心に刺さります。
結末とジムの行く末(ネタバレなし)
この映画の結末は決して派手なものではありません。
冒頭から分かるように、一度夢破れた男がたった1時間半程度で再起して
夢をかなえるなんて虫のいい話よりこの結末は素晴らしいと思いました。
映画の行く末はジムにとってはハッピーエンドになりますが兄はどうでしょう?
兄の行く末は描かれていませんでしたが、兄もまた良い方向へ進むと思います。
最後のジムの生き生きした顔を見ればね。
終わりに
駆け足になりますがあまり中身について語るとネタばれになるので
この辺で終わりになります。
恋愛描写ももちろんありますが、そこもまた重要な部分となっているので詳しくは語れません。
ぜひ見てほしいので^^
実家暮らしやニートってこういう状況に悩まされる時が必ずありますよね。
家族の圧や優しすぎる愛。
でもそれは、全部自分にとって向けられた確かなものですから
ラストのジムのように全てを一旦受け入れてみると気持ちが楽になります。
僕自身も気持ちの整理をつかせたくて上京した部分があるので
ジムの気持ちや生き方にはひどく共感しますし、
僕も前に進まなきゃと背中を押してもらえるいい映画です。
見た後はこっそり胸の内にしまい込みたくなりますね。
勿論いい意味で。
コメント